遺伝する認知症と遺伝しない認知症【家族性認知症】

遺伝しない認知症

家族性(遺伝による)アルツハイマー型認知症は65歳未満発症の早期発症型アルツハイマーのみです

遺伝性のアルツハイマー型認知症は早期発症型アルツハイマー病のうちの約10%であり、全アルツハイマー病のうちの1%以下となり、頻度は非常に少ないものです

しかし、前頭側頭型認知症はある程度遺伝することが知られています

アルツハイマー型認知症はほとんど遺伝しない

アルツハイマー型認知症はほとんど遺伝しない

遺伝によるアルツハイマー型認知症は65歳未満発症の早期発症型アルツハイマーのみであるといいます

アルツハイマー病は65歳未満発症の方を早期発症型アルツハイマー病、それ以降に発症の方を晩期発症型アルツハイマー病として区別します

遺伝によるアルツハイマー型認知症(家族性アルツハイマー病)の方はすべて、早期発症型アルツハイマー病です。早期発症型アルツハイマー病の方のうちの約10%が家族性アルツハイマー病です

遺伝によるアルツハイマー型認知症の遺伝子は2種類あり、アミロイド前駆体蛋白(APP)遺伝子とプレセニリン(PSEN)というものです

両方とも常染色体優性遺伝なので、家族歴がポイントとなります。両親が60〜80歳まで認知症を発症していなかったとすると、100%ではありませんが、家族性(遺伝)である可能性は低くなります

アミロイド前駆体蛋白遺伝子(APP)

アミロイド前駆体蛋白からβセクレターゼとγセクレターゼという酵素により切断されてAβ蛋白という短い蛋白質ができ、アルツハイマーの原因となる老人斑の主要構成成分となります。アミロイド前駆体蛋白遺伝子には現在までに32の変異が世界中から報告されています

プレセニリン遺伝子(PSEN1・PSEN2)

PSEN1は遺伝によるアルツハイマー型認知症の中で最も頻度が高く、その18〜56%を占めると言われています

その変異は180種類にも及び、世界で300家系以上報告されています。一方、PSEN2はその頻度は低く14種類で、世界でも十数家系にとどまっています

変異による遺伝によるアルツハイマー型認知症の多くは30〜50歳代に発症い遗伝子変異を持っていればほぼ100%発症い重症アルツハイマー型認知症の病像をとることが多いといいます

前頭側頭型認知症は遺伝する

前頭側頭型認知症は遺伝する

欧米の報告では前頭側頭型認知症の約10%は遺伝によるものであるとされています

前頭側頭型認知症の遺伝子は主に2種類あります。欧米の統計ですが、前頭側頭型認知症患者さんの5%はタウ遺伝子という遺伝子に異常を持ち、6%の方はプログラニュリン遺伝子(PGRN)という遺伝子に異常を持つと言われています

家族に認知症になった方がいない(家族歴がない)場合は、家族性前頭側頭型認知症の可能性は少ないです。特にタウ遺伝子陽性の家族性前頭側頭型認知症の報告は非常に稀だといいます

しかし、プログラニュリン遺伝子では三分の一くらいの方に家族歴がありません。家族に認知症になった方がいない場合でもプログラニュリン遺伝子による家族性前頭側頭型認知症の可能性は残ります

子どもに遺伝する可能性は少ないですが、100%ではありませんので、発症している方の遺伝子検査をするとより正確なことがわかります。ですが、日本では遺伝カウンセリングが発達していないので、原則として未発症の方の遺伝子診断はしていないのが一般的です

欧米の報告では前頭側頭型認知症(FTD)の約1割は家族性であるとされていますが、日本では頻度は低い可能性があります

タウ遺伝子

タウ遺伝子変異は世界中で100家系以上、約44個の変異が同定されています。タウ遺伝子による遺伝による前頭側頭型認知症の発症年齢は20〜60歳代と若く、常染色体優性遺伝です

浸透率も95%以上で、遺伝子を持っていればほぼ必ず発症します

プログラニュリン遺伝子(PGRN)

2006年に遺伝による前頭側頭型認知症の遺伝子として発見されました

欧米では頻度が大変高く、約68の変異が報告されており注目されていますが、日本を含むアジアでは現在まだ報告がありません。タウよりも発症年齢が高く40〜80歳代であり、この遺伝子を持っている方は70歳までに90%発症すると言われています。プログラニュリン遺伝子では行動障害以外にもパーキンソニズムや失行、言語障害が現れることが多いといいます

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする