抗認知症薬4種の特徴・副作用比較と使い分け方法

2011年、ドネべジル(アリセプト)に加え、ガランタミン(レミニール)、リバスチグミン(イクセロンパッチ、リバスタッチ)、メマンチン(メマリー)の3種の抗認知症薬が新たに発売されました

抗認知症薬4種は、作用機序からコリンエステラーゼ阻害薬(ドネベジル、ガランタミン、リバスチグミン)とNMDA受容体拮抗薬(メマンチン)に大別されます

ここでは、抗認知症薬4種の特徴・副作用を比較し、使い分け方法を解説します

抗認知症薬4種の特徴を比較

抗認知症薬4種

抗認知症薬4種は、いずれの薬剤も副作用の出現を避けるため、少量から開始して段階的に維持量まで増量していきます

抗認知症薬4種
一般名 ドネぺジル ガランタミン リバスチグミン メマンチン
商品名 アリセプト レミニ一ル イクセロンパッチ、リバスタッチ メマリ一
アルツハイマ一病期による保険適応 軽度〜高度 軽度〜中等度 軽度〜中等度 中等度〜高度
投与法 1日1回内服 1日2回内服 1日1回貼付 1日1回内服
増量法 3mg/日を2週間投与後5mg/日に増量。高度アルツハイマ一病では10mg/日まで増量可 8mg/日から開始し4週後に16mg/日に増量、さらに4週以上経過してから24mg/日に増量可 4.5mg/日から開始し、4週おきに9mg、13.5mg、18mgと増量し18mg/日で維持 5mg/日から開始し、1週毎に10mg、15mg、20mgと増量し20mg/日で維持

ドネべジル(アリセプト)の特徴

出典:www.eisai.co.jp

ドネぺジル(アリセプト)は強いアセチルコリンエステラーゼ阻害作用をもちます。日本での発売は1999年で、2011年4月までは唯一の抗認知症薬でした

特徴は、①1日1回投与、②軽度〜高度まですべてのステージで保険適応がある、③使用経験が長く多くの医師が使い慣れている、などが挙げられます。2011年11月にはジェネリックも発売され、中等度までのアルツハイマ—型認知症の方にはジェネリックが使用可能です

ガランタミン(レミニール)の特徴

出典:www.janssen.co.jp

ガランタミン(レミニ一ル)はアセチルコリンエステラーゼ阻害作用に加え、ニコチン性アセチルコリン需要体の感受性亢進作用があります

特徴としては、①半減期が短く、(2)ドネべジルに比べ不眠が出にくい、③他剤に比べると耐性が出にくい、などです。

リバスチクミン(イクセロンパッチ、リバスタッチ)の特徴

出典:blogs.yahoo.co.jp/tororu351mei

リバスチグミン(イクセロンパッチ、リバスタッチ)はアセチルコリンエステラーゼ阻害作用に加え、ブチリルコリンエステラ一ゼ阻害作用をもちます。最大の特徴は貼付薬であるため、拒薬や嚥下困難などの内服管理が難しい患者でも投与可能です

また、血中濃度の変動が少なく、消化器症状などの不快な副作用が出にくいとされています

メマンチン(メマリー)の特徴

出典:www.mixonline.jp

メマンチン(メマリ一)はNMDA受容体拮抗薬で、他3剤と全く違う作用機序ですので、基本的にコリンエステラーゼ阻害薬と併用しますが、単独投与でも効果を認めます

中等度以上のアルツハイマ一型認知症に適応があります

3種のコリンエステラーゼ阻害薬のうち、どの薬剤を投与した場合の予後が最も良好であるかを明確に示すエビデンスはありません

患者の認知機能・生活状況から確実に投与可能な薬剤を選択し、薬物療法とともに介護体制の構築やリハピリテーションなどの非薬物療法を行うのが認知症治療の基本です。1つの薬剤の効果は、大きな副作用がなければ、最短でも維持量で3〜6力月間投与を継続して判定します

抗認知症薬のポイント

  • 抗認知症薬はコリンエステラ一ゼ阻害薬とNMDA受容体拮抗薬に大別される
  • まずコリンエステラーゼ阻害薬から一剤を選び投与を開始する
  • 複数のコリンエステラーゼ阻害薬の併用は保険上禁忌である
  • NMDA受容体拮抗薬は中等度以上のアルツハイマ一型認知症でコリンエステラーゼ阻害薬に併用して用いるが、単独投与でも効果を示す

抗認知症薬それぞれの副作用とその対処法

抗認知症薬それぞれの副作用

抗認知症薬を使用するうえで各薬剤の副作用とその対処法を知っておくことが重要です。副作用が出現しても薬剤の減量や変更を行うことで抗認知症薬の投与継続が可能となります

抗認知症薬は上記のようにコリンエステラーゼ阻害薬「ドネべジル(アリセプト)、ガランタミン(レミニール)、リバスチグミン(イクセロンパッチ、リバスタッチ)」とNMDA受容体拮抗薬「メマンチン(メマリー)」に大別されます

コリンエステラーゼ阻害薬で共通してみられる副作用で比較的頻度の高いものは、嘔気嘔吐・食欲低下・下痢などの消化器症状です

この副作用の軽減のため、どの薬剤も少量から開始し、ゆっくりと増量していきます。投与初期・投与量増量時に出現しやすいですが、慣れが生じることもあるため消化器症状出現の可能性につし、て説明しておき、軽いものなら投与を継続します

吐き気に対してはドンペリドン(ナウゼリン)などの制吐薬を一時的に用いるのも方法です。1つのコリンエステラーゼ阻害薬で嘔気が出現しても他の2剤では嘔気を生じない場合もあるため、消化器症状が強い場合は変薬します

また、コリンエステラーゼ阻害薬の効果が強く出ると、焦燥感・易怒性・興奮・多動などの症状が出ることがあります

その際は、①投与量を減らす、②他のコリンエステラーゼ阻害薬に変更する、③抑肝散などの認知症の興奮に効果があると言われている薬を併用する、④メマンチンを併用する⑤メマンチンに変更するなどの対応があります

もともと易怒性が目立つ例で中等度以上であれば、メマンチンから開始するのも方法の一つです。なお、ガランタミンはアルツハイマー型認知症患者の焦燥・不安・脱抑制・異常運動行動に対する効果も報告されています

その他の副作用としてドネべジルで不眠が出た場合はガランタミンに変更すると改善する場合があります

リバスチグミンの貼付薬では皮膚症状の副作用に留意が必要です。また、コリンエステラーゼ阻害薬で生じる重篤な副作用に、徐脈、失神、痙攣発作、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の増悪などがあります。徐脈傾向の患者、コントロール不良の気管支喘息の患者では注意が必要です。なお、副作用のためドネべジルから他のコリンエステラーゼ阻害薬に変薬する場合は1週間程度の休薬が望ましいです。また変薬の際、保険上クロスオーバー投与(交互に試す服用法)は不可です

メマンチンでみられる主な副作用は眠気、めまいです。いずれも投与初期や増量時に生じやすく、慣れが生じる場合がありますので、重篤でない場合は投与を継続します

眠気が強い場合は夕方または就寝前の投与にすることで、睡眠の問題も解決できることがあります。維持量である20mg/日で眠気が強い場合は10mg/日で投与します

メマンチンは腎排泄の薬剤なため、高度腎障害の患者では血中濃度が上がるため10mg/日で維持量とします

抗認知症薬の副作用まとめ

  • コリンエステラーゼ阻害薬では消化器症状と焦燥感・易怒性・興奮・多動などの症状に注意
  • コリンエステラ一ゼ阻害薬で徐脈・けいれん・COPD(慢性閉塞性肺疾患)増悪のリスクあり
  • メマンチンでは眠気とめまいに注意

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