認知症の症状を起こす(悪化または原因となる)薬とは?

認知症の症状を起こす(悪化または原因となる)薬

一般的な病気の治療に対して投与される薬には、物忘れ自体を悪化させたり、認知症のような症状を生じる薬があり、認知症と思われていても実は薬の影響であった例は多数みられます

どのような薬が認知症のような症状を引き起こすかを知ることは、認知症が疑われるケースでは大事になります

認知症のような症状を起こす可能性のある薬

認知症のような症状の原因

急に物忘れや認知症のような症状が起こった場合は、薬が最近変わったり、追加になったりしていないかを確認することが大切です

認知症のような症状の原因が、服用した薬にあるかもしれません

抗コリン作用がある薬剤

現在アルツハイマー病治療に用いられるドネべジル(アリセプト)はアセチルコリンエステラーゼ阻害薬で、アセチルコリンを増やす作用があります。逆に抗コリン作用がある薬剤は認知機能に対して悪影響があると考えられます

このためパーキンソン病治療薬である抗コリン薬や三環系抗うつ薬、抗精神病薬、頻尿治療薬などは注意を要します

①抗パーキンソン病薬

トリヘキシフェニジル(アーテン)、ビぺリデン(アキネトン)、メチキセン(コリンホール)など

②抗うつ薬

アミトリプチリン(トリプタノール)、イミプラミン(トフラニール)など

③抗精神病薬

クロルプロマジン(コントミン)、レボメプロマジン(ヒルナミン)など

④頻尿治療薬

オキシプチニン(ボラキス)、プロピべリン(バップフォー)など

ベンゾジアゼビン系薬剤

これは抗不安薬や睡眠導入薬として広く使用されていますが、認知機能低下を、生じることも多いため、特に高齢者は慎重に服用する必要があります

①抗不安薬

ジアゼノ厶(セルシン)、アルプラゾラ厶(コンスタン)など

②睡眠導入薬

ニトラゼパム(ベンザリン)、エスタゾラム(ユーロジン)、トリアゾラム(ハルシオン)など

抗ヒスタミン薬

この薬も使用頻度がきわめて高いのですが、せん妄を生じることが知られています。認知症、認知機能に影響を与える可能性も指摘されています。また鼻水を改善するなどのために市販の感冒治療薬にも配合されていることがあり注意が必要です

①抗潰瘍薬(H2遮断薬)

ファモチジン(ガスター)、シメチジン(タガメット)など

②抗アレルギー薬

プロメタジン(ピレチア)、シプロヘプタジン(ぺリアクチン)など

ドパミン系薬剤

パーキンソン病治療で用いられるレポドパやドパミンアゴニストなどは、幻覚や妄想なしの認知症に紛らわしい症状を生じる場合があり注意が必要です

①レポドパ含有薬剤

レポドノ・カルビドパ(メネシット)、レポドパ複合薬(マドパー)など

②ドパミンアゴニスト

ブロモクリプチン(パーロデル)、力べルゴリン(カバサール)など

③ドパミン遊離促進薬

アマンタジン(シンメトレル)

抗てんかん薬

抗てんかん薬の過剰投与は傾眠や失調などをまねき、認知症と紛らわしい症状が出ることがあります。

フェニトイン(アレビアチン)、バルブロ酸(デパケン)など

高齢者が薬を服用する際の注意点

薬を服用する際の注意点

上記の薬以外にも認知機能を低下させたり、認知症を生じる可能性がある薬剤はありますが、ここでは使用頻度が高い薬を主に取り上げました

もちろん、上記の薬を高齢者が絶対服用してはならないということではありません

認知症を疑わせる認知機能障害や認知症のような症状が出現した場合、もう一度「現在服用している薬による症状ではないか」と疑ってみることが大切ということです

ほかにも認知機能を低下させたり、認知症を生じる可能性がある薬剤はありますが、ここでは使用頻度が高い薬を主に取り上げました

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