認知症患者の転倒や転落への対応対策・予防方法

認知症にかかると、認知症に伴う平衡バランス感覚や危険認知能力の低下、さらには活動意欲の低下に伴う下肢筋力の低下などによって、容易に立位時や歩行時にバランスを崩し転倒が起こりやすくなります

加えて、座っているときにおいては、身体の前後・左右いずれかへの傾きの強まりや、就寝時においてはベッドの高さが認識できずに移動しようとして転落に至ることがあります

認知症患者の転倒や転落への予防・対策

認知症患者の転倒や転落

認知症患者の家族は、日々の生活の中で認知症患者の転倒や転落の危険性とその原因や要因を迅速かつ的確にとらえることが重要です

家族や家族介護者に加え、介護士・理学療法士・ホームヘルパーをはじめとするほかの保健・医療・福祉専門職者との連携のもと、転倒や転落の予防を図り、緊急時を含めて家族介護者やホームヘルパーが的確に対応できるようにします

下記のうち1つでも該当するものがあれば対応が必要です

不安定な歩行(身体のバランスが維持しにくい、腰痛・膝痛がある、下肢の浮腫がある)
不安定な座位姿勢 左右いずれかへの身体の傾き
前後いずれかへの身体の傾き
立位困難な状況におけるベッドからの這い出し、自力でのベッドからの移動

具体的な対策・予防方法

具体的な対策・予防方法

臥床時(寝転がっている時)の対応策

「ベットから布団」または「布団からべッド」への変更、べッド柵の活用、べッド臥床時では床がフローリングの場合は床の一部にマットレスや畳を敷く、ベッドの高さをー番低くするなど

座位時の対応策

座90度ルールの座位姿勢、車いす使用時におけるブレーキの確認、すべり止めクッションの利用など

立位・歩行にかかわる対応策

すべりやすいスリッパや靴下は使用しない、足元に障害物を置かない、家具や家電製品などの角の保護、手すりの設置、すべり止めマットの設置、足元の照明の調整など

疼痛(痛みが出たとき)への対応

マッサージ、薬物の適切な使用など

浮腫(むくみ)への対応

弾性ストッキングの着用、マッサージ、足関節の運動など

環境の調整

環境の調整(肘かけつきのいす、手すりの設置、段差の解消など)用具や用品の活用・調整、杖、歩行器、歩行車、車いす、すべり止めマット、浴室用すベり止めマットなど

転倒しやすい高齢者

転倒しやすい高齢者

認知症高齢者の場合、周囲の状況を察知しにくいです

突然、背後から呼びかけられたりするとふり向きざまにバランスを崩したり、驚いてバランスを維持できず転倒してしまうことがあります

認知症高齢者に言葉を伝えたいときは、正面から顔を見るようにして話すことが大切です

また、安全性が十分に意識されていないこととしては、「サイズの合っていないサンダル履き」であることや「体重を支えきれそうにないものにつかまろうとしたりする」ことなどがあげられます

危険性の察知が不十分であるならば、それに見合った安全環境を調整していく必要があります。たとえば、転倒を引き起こしかねない履物は認知症高齢者の目の届かない場所や手にとれない場所に保管しておくことや、家具や調度品を最小限にしたり、手すりを設置したりしましょう

認知症患者が転倒・転落したときの対応方法

対応方法

不幸にも転倒や転落してしまった場合、まず速やかに行うことは、頭部を打っていないか、身体に出血を伴う外傷が見られていないかを確認することです

そして、骨折と打撲の有無を確認します。前のめりに倒れた場合は橈骨遠位端骨折、尻もちをつくように倒れた場合は大腿骨頸部骨折や脊椎圧迫骨折、側方へ倒れた場合は上腕骨外科頸骨折などが考えられます

痛みや腫れのほかに、上下肢長の左右差や上下肢の動きなどを注意深く観察します

また、高齢者は特に、血管が脆弱であることや抗血栓薬を服用していることによって頭部の殴打によって硬膜下血腫が形成されることもあり、転倒や転落後における意識状態の把握は必要不可欠です。

転倒・転落した場合は、外傷が見られなくても早めに一度は医師の診察を受けられるように手配しましょう

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