認知症と判明した親との付き合い方・接し方とは

認知症と判明した親との付き合い方
親が認知症と診断されてしまった。そんな時はこれからどうやって接していけばよいのかわからなくなってしまうことが多いと思います

そんな認知症と判明した親との付き合い方、接し方のコツを紹介します

認知症と判明した親との付き合い方①過保護もスパルタもダメ

過保護もスパルタ

認知症とわかると介護者がなにからなにまで世話をやき、それまで本人がしていたことまでしてしまうことがあります。これでは、本人の誇りをうばって無気力にしてしまいます

反対に能力を維持しようと、記憶の訓練をさせたり、仕事や家事をさせて監視し、疲れさせてしまうこともあります

介護をどうしたらいいのかととまどい、過保護になったり教育的になったりするのです

介護者は、患者が「自分の意思で、したいことをして生きていく、その援助をする」という立場でいるのが一番です

親ができないことをフォローする

料理をするときは、家族がさりげなく横に立ち、失敗しそうなことはフォローし、料理を完成に導きます

留守番してもらうときは、大きくわかりやすい伝言メモを電話のそばに置き、書いてもらい、失敗がないように配慮します

買い物は、1人のときはなじみの店にだけ行かせます。そのお店にはあらかじめ、連絡しておいて、「〇〇を〇個頼みます」と協力を要請します

お茶のみ友達がいれば、来ていただき、社交もふだんどおり続けるようにします

そうやってできるだけふだんどおりの生活を続けることが、進行を遅らせるのに一番です

認知症と判明した親との付き合い方②認知症の親の誇りを傷つけない

認知症の親の誇り

誇りを傷つけないために認知症患者の失敗を介護で防げればいいのですが、むずかしいのが現実です。病気ゆえに認知症の親は失敗して、めげて、介護者が「あらっ」と言うだけでも叱られたと感じてしまうことがあります

だからといって、介護者が自分の感情を隠し続けるというのも無理があり、頑張りすぎれば神経が参ってしまいます。初期の介護は、この、認知症の親の誇りを傷つけないところに最大の難所があります

この難所を乗りきるためには、試行錯誤しながら、ふつうの生活ができるょうに、工夫を積み重ねていくしかありません

安心して介護者に頼れるようになれば、抗うつ状態や被害妄想の精神症状が出るのを予防することにもなります

認知症と判明した親との付き合い方③できるだけ外出を勧める

できるだけ外出を勧める

1日テレビの前でボ—ッとしている、これでは身体的にも、心理的にも弱ってしまいます

初期のうちは、工夫をすれば、1人で外出もできます(個人差がありますが)。できるだけ外出や社交をするよう支援しましょう

可能なら仕事へ行く無理のない仕事に変えてもらう、あるいは週のうち、何回かの勤務にしてもらう、など職場環境が許せば続けたほうがいいようです

ただし、環境に慣れなかったり、仕事にとまどったりしてストレスを抱えるのも危険なので、本人の様子を見守り、医師にもときどき相談して、決めていきます

贅沢な例では、歩けるかぎり社長室に通った会社の創業者もいます。息子が跡をついで、自分の社長室を別にしつらえました

畑へ行くかなり後期まで、自宅近くでの畑仕事は可能です。土にふれ、作物の実りを喜ぶことは、最高の進行防止かもしれません

散歩へ行く外の日差し、風、匂い、これらにふれることは大切。五感を刺激して、心身を活性化してくれます

趣味の会の指導者と、主だった受講者にあらかじめ根回しをしておいて、送り迎えします。歌を歌う、体操する、工作するなど体を使うことは進行防止に有効です

同窓会など心ないひと言で誇りを傷つけられる可能性もあり、出席は避けたほうがよいでしょう。ただし、参加者が事情を承知した人や親しい人ばかりで、理解ある態度で接してくれるなら大丈夫です

認知症と判明した親との付き合い方④出来る範囲で家庭内の役割を与える

家庭内の役割を与える
役に立ちたい、それが認知症患者の望みです

ある認知症の人は、やたら茶碗を洗い続ける、野菜を見つければ洗い、切るで、大混乱を引き起こしていました

なにかの役に立たないといられないそうです。近所に温泉施設ができたので気をそらすためにひんぱんに通うと、派手なお手伝いは引っ込み、今度は好きな読書をして過ごすようになりました

介護する家族は、「病気を受け入れる時間が必要なのだ」と、初期の混乱を割り切って考えることも大切です

さりげなく家庭内の役割を与える

病気になる前の「しっかり者の母親」「勉強家の父親」などの役割が果たせないことが辛く、こだわりとも妄想ともつかない行動をとる人もいます

本を解体する行動をすることもあり、それにもなにかの「役立ちたいストーリー」があるようです

急に家にいるようになった親、あるいは自信を失ってこもるようになった親には、さりげなく役割をふるのが有効です

それも家族の日常になくてはならない役目がいいようです

認知症と判明した親との付き合い方⑤神経質に見張らない

神経質に見張らない

夫を介護する妻が、自分の趣味も外出もあきらめて夫主体に動いていたら、夫はなんだか元気をなくしてしまったというケースがあります

「夫婦の50年のリズムを壊したのかもね」と、妻はヘルパーを頼み、前のように1人で趣味の集まりに行くようにしました。すると夫も、落ち着いたということです

神経質に見張りすぎずに適度に放っておくのもポイントです

本人の性格をよく考えた対応、接し方をすること

本人の性格をよく考えた対応、接し方

認知症の初期から中期にかけて、混乱が続く方と、そうでない方、起こってもある時期だけであとは落ち着く方、3通りの方がいます。どうしてなのでしょうか

認知症の周辺症状が激しく出る方を観察した結果、初期の代表的な周辺症状である「もの盗られ幻想を抱く人に共通する、病前の人柄があることがわかりました

それは、「めんどう見はいいが、めんどうを見られるのがへ夕な人」。人一倍の頑張り屋で、自分が助けられるより、人を助けてきたという夕イプです

そういう方は、まさか自分が家族に面倒をかけるなんてと、この病気を受け入れられない気持ちがあるのでしょう

一方、おとなしく穩やかで、人に逆らうことをよしとせず、平穩無事の人生を送ってきた方は、認知症の周辺症状は激しくありません

しかし、別の問題があります

まったく外出せず、呆然と日を過ごして、認知症が急速に進行するというマイナス面です

身体的にも弱ってしまうので、なんとか役割意識をもたせ、気分を活性化するよう、刺激を与え続けなくてはなりません

どちらにしても、役割意識と自尊心のあり方が、行動障害の背景になっているのがわかります

親の性格に応じた接し方を

めんどう見のよい人には、自尊心を壊さない気配りをしながら、徐々に、「めんどう見られてもいいのだ」と思ってもらう、ということなのですが、それまではある程度の山も谷もあるのを、覚悟しなければなりません

小さなことでも「褒める」「認める」態度がいいのです。「あら上手ね」「助かったわ」という細かい言葉かけをしましょう

おとなしい性格の人には、発症初期から、その人の存在価値を認めて、「一緒に行ってください」「一緒に散歩に行けて、私もいい気持ち。助かったわ」

と、常に相手を立てながらの言葉がけをして、行動をうながしていきましょう。

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