認知症患者の場合、尿路感染症や皮膚感染症をはじめとする各種感染症の前兆や発症に気づくことが遅くなります
介護者や家族、周囲にいる者が早めの発見をするため、観察を怠ることのないようにすることが大事です
認知症と感染症
近年におけるインフルエンザをはじめとする流行性感染症についても、自ら積極的に予防の手立てを講じることが困難な認知症患者の身体はより感染の危険性にさらされているといっても過言ではありません
認知症患者の家族や介護者は、日々の生活の中で認知症患者の感染の徴候や諸症状を見極め、感染症の原因や要因を迅速かつ的確にとらえることが重要です
同時に、家族や家族介護者に加え、主治医・ホームヘルパーをはじめとするほかの保健・医療・福祉専門職者との連携のもと、感染症の予防と早期発見・早期治癒を図り、緊急時を含めて家族介護者やホームヘルパーが的確に対応できるようにしましょう
感染症の種類
尿路感染(排尿時痛、残尿感、膀胱留置カテーテルの留置、水分摂取不足) | ||
呼吸器感染(感冒・インフルエンザなど) | ||
皮膚感染症 | 帯状疱疹 | |
真菌感染 | 白癬(手指・足指) | |
陰部の真菌感染 |
こんな症状があれば注意(感染症の徴候)
- 原因不明の微熱
- 繰り返される発熱
- 体温・脈拍・呼吸・血圧を含む全身状態
- 尿路感染の状況(尿の性状(色・混濁)、排跟時痛、など)
- 呼吸器感染の状況(咳嗽、喀痰、鼻汁、呼吸苦、倦怠感など)
- 皮膚・粘膜の状況(発疹、発赤、ただれなど)
認知症患者の感染症予防
私たちの生活の営みとともに、さまざまな感染症が発生・流行しています
そんな感染症の被害者の多くは、高齢者や幼い子どもであったりします。家庭においても、免疫力が低下した認知症高齢者に対する感染防止対策は、日ごろから十分に留意しておかなければなりません。冬季の感冒やインフルエンザの流行、梅雨時期の食中毒など、年間を通した予防の取り組みが求められます
感染症の予防方法
- 尿路感染症への対応(水分摂取のうながし、陰部の清潔(陰部洗浄、シャワー浴)、膀胱留置カテーテルの管理など)
- 呼吸器感染症への対応(加温・加湿、含嗽、消化のよい食事メニュー、粥・ペーストなどの摂取しやすい食形態、水分摂取のうながし、インフノレエンザワクチン接種の調整など)
- 皮膚感染症への対応(清潔ケアの実施、乾燥、患部の保護、清潔な衣類の着用など)
- 栄養補給への対応(摂食の声かけ・うながし、誘導、栄養補助食品の利用など)
- 環境の調整(温度・湿度)
インフルエンザの予防
冬季のインフルエンザの流行に対しては、事前に情報を収集し、インフルエンザワクチンの接種を行っておくことが大切です
現在、65歳以上の高齢者はー部公費負担によって接種できるようになっています。市町村の担当窓口に問い合わせて、早めに家族や家族介護者に知らせます。また、家族介護者にも状況に応じて接種を検討することが必要です