糖尿病と認知症は直接関係がないように思えるかもしれませんが、実は大いに関係があり、糖尿病の患者は健康な人に比べて、認知症を発症しやすいことが知られています
多くの研究で、中年期の生活習慣病が、高齢期の認知症発症に関与すると報告されています。とくに糖尿病の場合は、発症リスクが約2倍になるといわれているのです
糖尿病患者は認知症になりやすい
糖尿病の人は認知症の原因となる老人斑の形成、神経原線維変化が起こりやすいという研究があります
認知症は、遺伝による発症は、全体のごく一部にすぎないことが分かっています。最近では、糖尿病などの影響が指摘され、「認知症は第三の生活習慣病」とよばれることもあります
糖尿病で認知症発症リスクが約2倍
食後、血液中の「糖(ブドウ糖)」の量が増えると、インスリンが分泌されて血液中の糖を細胞内に移行させて血糖値を下げます。
これが体内でのインスリンの主たる役割なのですが、最近の研究ではインスリンはその役割のほかにも、脳の神経細胞の中に溜まってしまった「ベー夕アミロイド(アルツハイマー型認知症の原因と考えられている)」を細胞の外に出す作用があることがわかってきています
さらには、インスリンを分解する「インスリン分解酵素」が、細胞の外に出された「ベー夕アミロイド」を分解することもわかってきています
「高血糖」とは、血液中の糖が増えすぎてしまった状態のこと。「高血糖」になると、血糖値を下げるためにインスリンがたくさん分泌されます。もちろん、それに反応してインスリン分解酵素もたくさん分泌されるのですが、インスリン分解酵素はインスリンを分解するためだけに使われてしまい、「ベータアミロイド」の分解まではできなくなってしまう、という関係があります
こうした関係があることから、主食で食べるごはんやそばの比率を少し多めにすることが、認知症の予防や軽度認知障害からの回復につながっていくというわけです
糖尿病を予防する食事
おかずに比べて摂取量が多い主食については、次の点を押さえておきましょう。それは、小麦粉を使ったパンやうどんなどのめん類に比べ、ごはん・そばでは食後の血糖値の上昇が比較的ゆっくり進む、ということです
ここから、主食の選択においては極力ごはんやそばを多くすると望ましいということが言えます
これは、パンやめん類では材料となる小麦を細かく砕いていることで、粒状のコメに比べると栄養の吸収が早くされるためです
主食をごはん・そばにして血糖値急上昇を避ける
そばについては、小麦と同じように材料を細かく砕いてあるのですが、食物繊維が多いために栄菌の吸収が比較的遅くなるようです
こうした食後の血糖値の上昇スピードが何に影響するかというと、糖尿病のなりやすさに大きな影響を与えます
食後に血液中の糖分が増えると、インスリンというホルモンが自然に分泌されて、血糖値を一定の範囲に抑える働きが人体には元来備わっています
しかし、食べすぎなどで血糖値が慢性的に高い状態が続くと、このインスリンの分泌がスムーズに行われなくなったり、インスリンの機能自体が低下してしまったりします
そうして血糖値が高い状態が常に続くようになってしまうのが、糖尿病という恐ろしい病気です
慢性的な食べすぎのほかにも、食後などに急激に血糖値が上昇し、その後、インスリンが大量に分泌されて一気に低血糖状態にまで至るといった激しい血糖値の上下動があると、そのことによっても糖尿病になりやすいことが近年わかってきています
主食にパンや小麦粉を使っためん類ばかりを食べていると、この危険性が高まってしまうのです
ただしごはんやそば、パンやその他の各種めん類は、体内ではブドウ糖になって利用される炭水化物です。
栄養学的には砂糖などと同じ「糖質」ですから、全体的にはやや少なめに、腹八分目程度に摂取量を抑えることを意識すべきです。糖質の一種なので、腹八分目に抑えておくのは変わらないのです。