認知症にならないための運動方法とは【運動が認知症予防に役立つ理由】

運動が認知症予防に役立つ理由

認知症を予防するには、運動習慣、対人接触(人との付き合い)、知的行動習慣、睡眠習慣など、認知症になりにくい生活習慣を身につけ、実行することが大事です

運動は、肉体的年齢維持・増進するばかりでなく、認知症予防にも有効であることがわかっています

運動が認知症予防に役立つ理由

脳の血流増加

特に、アルツハイマー病では、先述のようにアミロイドβやタウタンパク質が脳に蓄積したり、過剰なリン酸化を起こしたりすることで、海馬の萎縮や神経伝達組織の機能低下が起こると考えられていますが、最近の研究で、運動が脳内で起こるこうした現象の改善に有効であることが報告されています

例えば、運動をすると、アミロイドβを分解する酵素が活性化され、アミロイドβの蓄積を防ぐという報告や、運動をすることで筋肉細胞から放出されるホルモンが、脳の細胞死を抑制する神経栄養因子を増やし、海馬のニューロンの活性化および神経伝達機能を向上させるという報告があります

さらに、運動すると体内の酸化ストレスを減少させ、同時にインスリン分解酵素を活性化させることにより、タンパク質のリン酸化や蓄積を防ぐ効果があることも指摘されています

血流増加

また、脳は円滑な血流が必要な組織です

認知症では、脳の血流低下が見られますが、その脳の血流を増やすことで、認知症予防につながると考えられます。運動は、そんな脳の血流増加にも効果があります

加えて、「運動習慣は、健康な人が加齢によって認知機能が落ちるのを防ぐだけでなく、すでに認知症を発症している人の認知機能低下を軽減させる効果もあります。認知症の高齢者170人を対象にしたオーストラリアの研究では、6力月間運動した人は、しなかった人と比較して、3年後に認知機能の改善がみられた。」という報告もあります

有酸素運動が効果的

有酸素運動が効果的

運動の中でも脳に効果的なのは特に有酸素運動で、ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングやエアロバイクなどを週3〜4回(理想は毎日)30分程度行うのが認知症予防によいとされています。

とはいっても、いやいやながらするのは、よくありません。楽しんで行うのが一番です。それには、「好き」で、これなら「続けられる」という運動を見つけることが大事です。

また、ゴルフは、完全な有酸素運動ではありませんが、スイングでは体幹筋が鍛えられ、脂肪燃焼がしやすくなり、コースを歩くことは有酸素運動につながり、かつ運動不足解消され、生活習慣病の予防につながります。前頭葉を活性化するのに最適なスボーツともいわれ、1スイングしただけでも前頭葉が活性化され、カップインをイメージすることで前頭葉が活動するという報告もあります

1日30分程度の有酸素運動

認知症の方はともかく、その前段階の段階、つまり軽度認知障害や、さらにその前段階となる前・軽度認知障害の方では、足腰がまだまだしっかりしている方がほとんどです

適度な運動が認知症の予防につながることは、いまやさまざまな調査データが示唆する医学常識となっています。認知症はある意味で生活習慣病のひとつであるため、糖尿病や脂質異常症、高血圧などが運動の習慣で予防できるのと同様、1日30分程度の有酸素運動によって発症の予防ができる可能性が高いと考えられるのです

軽度認知障害について言えば、運動によって症状が解消し、前・軽度認知障害のレベルにまで状態が改善したり、完全に健康な状態に戻ったりすることは珍しいことではありません

また、生活習慣病の中でも特に糖尿病は、それ自体が認知症を引き寄せる主要なリスク要因のひとつでもあるため、糖尿病を予防するためにも運動は必須でしょう

認知症予防に適した散歩とウォーキング

認知症予防に適した散歩

有酸素運動とは、運動をしている最中にも呼吸を続ける運動のこと。筋トレなどの息を止める無酸素運動と区別してこのように呼びます

ジョギングやウォーキング、散歩などが代表的な有酸素運動ですから、こうした運動を1日30分程度行うとよいのです

このうち、認知症予防に特にお勧めしたいのは散歩とウォーキングです

「散歩でもウオーキングでも、どちらも同じではないか?」と思うかもしれませんが、厳密に言うと、ウォーキングのほうが散歩よりも少し速く歩く別の種類の運動です

ただ、こと認知症の予防効果という意味で考えると、ウォーキングで少し速く歩くのでも、普通にゆっくり散歩するのでも、それほど効果は変わらないと考えられています。ですから、好きなほうに取り組めばそれで結構です

まだまだ足腰が元気な人なら、少し汗ばむくらいのウォーキングを行う。ひざや足首、股関節などの関節が痛むようになってきた人なら散歩を行う、という形で選択すればよいでしょう

できれば2人以上で運動する

この散歩やウォーキングをひとりで毎日行うだけでもかなり大きな効果があるのですが、より認知症予防の効果を高めるには、こうした運動を複数で行うようにすることが有効です

長年のつれ合いと一緒に散歩するようにしてもよいですし、子供やお孫さんなどと一緒というのも楽しいでしょう。あるいは近所の同年代の友人を誘って、何人かでグループで歩くというのも理想的です

とにかく、ここでも誰か自分以外の人と一緒に運動することで、高齢になると少なくなりがちな他者とのコミュニケーションをとることを意識しましょう。脳の中でさまざま領域が同時に刺激され、認知症を防ぐ効果も高まります

またどうしても誰かと一緒に行うのが難しい場合には、ペットと一緒に散歩することでも、ある程度は同様の効果が見込めるとされています

少しの時間の運動でも認知症予防に効果あり!

犬を連れて効果アップ
1日30分の運動といいましたが、必ずしも一度に30分、続けて運動をしなければならないわけではありません

生活習慣病の予防に関しては1回15分で2回に分けたり、10分ずつの3回に分けたりする場合でも、合計でー日30分の運動になればあまり効果は変わらないことが判明しています

ですから、ー度に30分の運動がちょっとしんどく感じられるのであれば、少しづつ細切れに運動してもまったくかまいません

犬を連れて効果アップ

朝夕の2回に分けて、それぞれ15〜20分程度の散歩をするのもいいでしょう。犬をつれて散歩に出る方も多く、この場合には自分ひとりだけで散歩をするより高い認知症予防効果が期待できます

実際、犬を飼っている人では各種の生活習慣病が少なくなる、という研究が多くあるため、間接的に認知症の予防効果も見込めます(ただし高齢者の場合は、大型犬の散歩には転倒の危険があるので注意してください。小型犬であれば問題ありません)

さらに言うと、このような運動はできれば每日行うことが望ましいのですが、たまに運動できない日があっても大丈夫です。運動はしないよりは少しでもしたほうが絶対に健康になれます。最初はできる範囲から取り組み、少しずつ毎日の習慣にしていくようにすればそれでOKです

雨の日は室内で運動

雨の日は室内で運動

散歩やウォーキングをお勧めの運動として挙げましたが、たとえば雨が降った日や非常に寒い日、逆に非常に暑い日など、高齢の方ではあまり外出しないほうがよい場合もあります

そういうときには、室内で行える運動の選択肢もたくさんあったほうが、運動の習慣を長く続けやすいでしょう。ここでは室内運動についても選択肢として紹介します

たとえば、ラジオ体操は室内運動として最適です。

ラジオ体操には、さまざまな運動要素がバランスよくミックスされています。「子供の体操」というイメージが強いのですが、実はあらゆる年代の方にお勧めできる認知症予防運動です

関節の可動域やバランス能力を改善させる体操も多く、立位バージョンだけではなく座位バージョンも用意されているなど、高齢の方にこそ最適な認知症予防運動と言えるでしょう。

シニア層に人気の踏み台昇降運動なども、典型的な有酸素運動ですから雨の日の認知症予防に有効です

太極拳やフラダンス、ヨガ、社交ダンスなどの運動系の習い事も、当然ながら予防効果が期待できます

体を動かす習慣があると頭も使う

体を動かす習慣があると頭も使う
日常生活で体を動かすことと、頭を使うこと、そうした習慣を通じて、社会的に孤立することなく、日々の生活を生き生きと過ごすことが大切である」と、多くの学者が強調しています

年を取ってから、あるいは中年期以降に運動の習慣がある人は、その習慣を通じて様々な形で社会参加している場合が多く、運動のみならず対人交流・娯楽活動などを通じて「頭を使う」機会も多いのだそうです。

そうした、生き生きとした活発な生活習慣を保っている人々は、認知症になることが少ないという事実が、複数の研究者によって確認されています

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