認知症の症状が外科的治療(手術)で良くなる可能性のある疾患があります
それは慢性硬膜下血腫と特発性正常圧水頭症です
もくじ
手術で良くなる認知症
慢性硬膜下血腫と特発性正常圧水頭症は、外科的治療(手術)で認知症の症状が良くなる可能性のある疾患です
しかし、両者とも認知症症状そのもので鑑別することは難しいといいます
CTかMRIで診断
慢性硬膜下血腫および特発性正常圧水頭症とも特徴的なCTまたはMRIの所見があります
慢性硬膜下血腫は局所麻酔下穿頭術、特発性正常圧水頭症は全身麻酔下シャント術を行います
手術で良くなる認知症①慢性硬膜下血腫
既往歴として大量のお酒を飲む方や特に肝機能障害がある方は、血液凝固系に異常をきたしやすいため慢性硬膜下血腫になりやすいとされています
軽い頭部外傷がきっかけとなることが多い病気です
認知症以外に片麻痺あるいは失語症等の神経症状を合併することもあります。高齢者の場合には頭痛を訴えることはあまりありません
慢性硬膜下血腫の手術
局所麻酔で頭蓋骨に穴を1個開ける手術で血腫を抜きます
慢性硬膜下血腫と診断された方に対しすベて手術を行うわけではなく、症状が軽く、血種の
量が少なければ様子をみることもあります
自然に血腫が吸収されてなくなる方もいます。手術をしなくても血腫がなくなれば、それに伴って認知症状なども消失します
手術で良くなる認知症②特発性正常圧水頭症
特発性正常圧水頭症の主症状は、精神活動の低下(認知症)、歩行障害、尿失禁の3つとされています
初期の段階では物忘れ、ついで自発性の低下、無関心、日常動作の緩慢化などがみられ、さらに進行すると無言・無動といった状態になります
歩行障害は初発症状であることが多く、歩幅の減少、足の拳上低下(足の上がる高さが低くなる)、歩幅の拡大が3大特徴とされます
尿失禁は、3症状の中で最も遅くに出現するとされています
特発性正常圧水頭症の手術
特発性正常圧水頭症の手術は、髄液を腹腔に流すシャント手術という方法で行われます
ただ、シャント手術が有効な症例であっても、手術の時期を逸すると脳の障害が進行してしまい、十分な治療効果を期待することは難しくなります
シャント手術には、脳室腹腔シャント(V-Pシャント)または、腰部クモ膜下腔腹腔シャント(L-Pシャント)があります